臨床未経験の看護師は、資格があっても看護師として最低限のスキルを身につけていないため、どの医療機関からも採用してもらえないと言われることがあります。
実際、新卒で臨床現場以外の職場に就職する看護学生はほとんどおらず、たまに美容外科などに就職が決まった学生がいると、先輩や学校から心配されることが少なくありません。
たしかに、若い頃に臨床経験を積んだ看護師は、基本的なスキルを習得し、どの診療科に行っても通用する応用力を発揮できるでしょう。
しかし、美容外科や人間ドックなど、傷病を抱える患者が来院しない現場で働いたからといって、看護師としての価値を失う訳ではありません。
美容外科で働く看護師は、注射や手術といった医療行為に携わる機会が多く、他の診療科に行ってもその技術を生かせるでしょう。
また、美容外科で習得したスキルをブラッシュアップし、美容系のクリニックを渡り歩くという生き方もあります。
他の診療科で通用しなくても、美容業界でトップクラスの看護師を目指せば良いのです。
このほかに、臨床現場の経験がないまま看護以外の業界に入る看護師の有資格者もいます。
このように、看護とは無縁の世界に移った有資格者は、潜在看護師と呼ばれ、その数は全国で70万人を超えると言われています。
日本看護協会は、潜在看護師の発掘に全力を注いでおり、臨床経験のない看護師にも現場復帰を促しています。
臨床経験があってもその後長期間のブランクが空いた看護師と同様に、臨床未経験の看護師も研修や実習で最新の医療技術を学べば、即戦力として活躍できる可能性が残されているのです。